大判例

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大阪高等裁判所 昭和28年(う)1793号 判決

なるほど原判決はその事実摘示第四において「被告人井口文之助、同井上久仁春は共謀の上同月十四日頃前同所において前記上野正次に要求の結果同人より前同趣旨の下に供与せられるものであることの情を知り乍ら現金二万円の供与を受け」と記載し、公職選挙法第二百二十一条第一項第四号所定の利益要求とその供与を受けたことの二罪に触れるようにみられる判示があるけれども、しかしその判文を卒直に通読すれば、原審は被告人等が共謀の上現金二万円の供与を受けるに至る段階事実として、それが要求に基くものであることを説明し、以て右要求行為と供与を受けた行為とを包括的に観察して一罪を認定したことが明白であつて、別途に要求罪自体を独立して判示したものと解することはできない。右のような原判決の事実認定は無論本件起訴にかかる現金二万円の供与を受けた公訴事実の範囲内に属するものであり、その訴因を逸脱したものとみることはできないから、原判決が審判の請求を受けない事件につき判決をした違法があると言うを得ないのである。そして右利益要求行為から進展してその供与を受けるに至つた行為はこれを包括的に観察して前示法条該当の単一なる犯罪となすべきが当然であつて、これを以て手段結果の関係ある二個の行為となすべきではない。従つて原判決には何等所論の如き違法なく論旨は理由がない。

(註 本件は量刑不当により破棄自判)

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